最新治療:薬物溶出性ステント(Drug Eluting Stent: DES)とは(図10)

 従来のステント治療では残念ながら治療した冠動脈の同じ場所が20%〜30%の頻度で再狭窄が起こり、再治療が余儀なくされることが大きな課題となっていました。再狭窄は冠血管形成術後における修復機転の一つである血管内膜や中膜細胞の形成および増殖が原因とされています。
 薬物溶出性ステント(Drug Eluting Stent: DES)はステント表面に細胞増殖を抑制する薬剤をコーティングした画期的なステントです。これにより再狭窄率は2-8%と飛躍的に減少しました。薬物溶出性ステントの保険認可に伴い当院においても2004年秋より積極的に使用し、1年間半経過した現在までに約50名弱に留置しており、治療後6ヶ月以内の再狭窄率は0%で1例も再狭窄を認めておりません。ただし慢性期にステント内で血栓が生じやすい可能性があり、そのために少なくとも3ヶ月間は強力な血栓予防薬を服用する必要があります。あらかじめ大きな手術を予定している場合や血栓予防薬で副作用の出る場合には残念ながらこの薬剤溶出性ステントを使うことができません。この場合は従来のステントを使用することになります。どうぞ皆様方のご理解をお願いいたします。

図10:薬剤溶出ステント


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