循環器科ではどんな病気を治療するの?

 1.高血圧症

 動脈硬化の危険因子として重要です。高血圧は無症状のことが多く、そのまま放置すると動脈を蝕み、心臓病や脳卒中や腎臓病などを合併してくることからサイレントキラー(沈黙の殺人者)と呼ばれています。よって血圧が高いといわれた人はもちろんのこと40歳を過ぎた方は家庭や職場で血圧を測り健康管理をすることをお勧めします。最大血圧130mmHg、最小血圧85mmHgを超えないようにしましょう。高齢の方でも最大血圧140mmHg、最小血圧90mmHg未満にする必要があります。さらに誤った食習慣(肥満、塩分の取り過ぎ)、過度の飲酒、喫煙、運動不足といった普段の生活習慣を見直すことが必須です。糖尿病や腎臓病の合併があれば、さらにしっかり降圧治療する必要があり、内分泌内科、腎臓内科とも連携をとって治療をします。当院では管理栄養士による個々の患者様に合った栄養指導も行っております。また高血圧の原因が生活習慣以外のこと(腎臓病やホルモン異常)もあり注意が必要です。


 2.高脂血症
 血液中のコレステロール、中性脂肪などが高い。家族性のことがあります。動脈硬化の危険因子です。

 3.高尿酸血症
 血液中の尿酸値が高い。痛風、腎臓障害、尿管結石の原因となります。

4.狭心症および心筋梗塞(図1)
 心臓の血管(冠状動脈)が動脈硬化により狭くなったり、閉塞して心臓の筋肉が虚血や壊死におちいる病気(不安定狭心症および急性心筋梗塞を総称して急性冠症候群とよびます)。胸部痛や胸部圧迫感を認めます。直接人命にかかわる病気ですので、当院では24時間体制で緊急心臓カテーテル検査を行い、必要があれば経皮的冠動脈形成術を行います。


  5.不整脈(図2)
  脈が速くなる頻脈性不整脈

 発作性心房頻拍、発作性上室性頻拍、心房粗細動、心室頻拍、心室細動などがあり、発作性の頻脈の停止治療、頻脈発作予防のための薬物治療を行います。カテーテルを用いた心筋焼灼術を他施設にお願いすることもあります。

  脈が遅くなる徐脈性不整脈
 洞機能不全症候群、房室ブロックがあり、脈が遅くなり全身、特に脳への血流が減少して全身倦怠感、易疲労感、眼前暗黒感、意識消失などの重篤な症状があらわれます。必要であればペースメーカー治療を行います。


 6.心臓弁膜症(図3)
 心臓には大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、三尖弁の4つの弁があり、それぞれが開閉することにより心臓のポンプ機能が可能となっています。その弁が正常に機能しない病態で閉鎖不全症や狭窄症があります。心不全や不整脈さらには血栓塞栓症の原因となります。薬物治療をしますが、手術が必要であれば信頼できる心臓血管外科へご紹介します。


 7.心筋症
 心筋の異常により起こる病気。原因は明らかにされてませんが、拡張型心筋症、肥大型心筋症などがあります。拡張型心筋症は心室腔が拡張し、心室筋肉はむしろ薄くなり、心不全をおこしやすい病気です。肥大型心筋症は、左室の肥大をきたし、ポンプ機能の低下と、不整脈をおこしやすい病気です。


 8.心膜炎
 心臓を包む膜(心膜)の炎症などで心膜に水がたまったり(心膜炎、心タンポナーデ)、心膜が硬くなったりして(収縮性心膜炎)心臓の動きに支障をきたす病気です。


 9.心筋炎
 心筋に何らかの原因により炎症が起こり、心不全や不整脈などを引き起こす病気です。炎症を起こす原因としては、ウイルスが最も多いです。


 10.心不全
 虚血性心疾患、高血圧性心疾患、心臓弁膜症、心筋症などによる心臓のポンプ機能の低下により、全身に必要な量の血液が送れないために体に起きる症状を心不全症候群(息切れ、息苦しさ、足のむくみなどの症状)といいます。


 11.大動脈瘤、大動脈解離(図4)
 大動脈は心臓から全身に血液を送るための動脈の中心となる大血管です。胸部や腹部の大動脈がコブの様に太くなったり、裂けたりする病気です。経過をみれる場合は血圧を下げる薬物治療で、必要があれば当院血管外科を含めた信頼できる心臓血管外科へご紹介します。


 12.閉塞性動脈硬化症
 主に下肢の血管の動脈硬化で、冷感をともなう歩行時の筋肉の張りや痛みがみられます。この痛みは休むとすぐに軽減します(間欠性跛行といいます)。薬物治療に加え、必要があれば当院血管外科にてカテーテルによる血管形成術や手術療法を行ったりします。


 13.肺塞栓、肺梗塞
 いわゆるエコノミークラス症候群と呼ばれることが多い病気で、主に下肢静脈や骨盤腔内の静脈にできた血栓がはがれ、肺動脈につまり、突然呼吸困難や胸痛をおこします。薬物治療や、必要があれば再発防止のために下大静脈フィルターの留置をおこないます。


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