経皮的冠動脈形成術(PCI:Percutaneous Coronary Intervention)とは(図7)

  心臓の血管(冠状動脈)が、動脈硬化によって細くなってくると狭心症や心筋梗塞を引き起こすことが知られています。循環器部門では、狭心症などの冠動脈疾患を早期に発見してカテーテルとよばれる細い管を用いて心臓の血管を開大する経皮的冠動脈形成術(PCI: Percutaneous Coronary Intervention)を行っています。 バルーン(風船)を用いて開大する方法、ステント(特殊な合金による金属を網の目状にした筒)を血管内に植え込む方法などがあります。

バルーン、ステントの実際(図8)・(図9)
 @まずカテーテルを、心臓カテーテル検査の時と同様に、足の付け根や手首の動脈から局所麻酔下で冠状動脈の入口部まで挿入します。
 Aこのカテーテルの中を通して、髪の毛くらい細いワイヤーを冠状動脈内に挿入し目的とする病変部を通過させます。通過したワイヤーに沿わせて先端にバルーンのついたカテーテルを病変部に進め、そこでバルーンを数十秒間拡張させて病変部を開大させたらバルーンを抜去します(図8)。
 Bステントを植え込む場合(図9)は、この後バルーンの上に装着したステントを病変部へ進め、そこでバルーンを拡張させステントを血管壁に押しつけて植え込みます。
 Cバルーンのサイズはいろいろあり、冠動脈病変によっては数個のバルーンを使用することもあります。バルーン拡張中の数十秒間は、冠動脈末梢への血液の流れは停止するためその間、胸の痛みを覚えますが、バルーンを抜去すると、速やかに胸の痛みは消えます。
 D冠動脈の狭窄部が“風船治療”を行うのに難しい場所にあったり、病変部の形状がこの治療法では危険を伴う時、また複数の個所が狭くなっている時は、冠動脈バイパス術が必要になります。
最近では手首の動脈からこのような治療を行うことも多く、この場合治療後の安静も短時間ですみ、したがって入院期間も短く狭心症であれば2泊3日で治療可能です。比較的高齢の方や腰痛持ちの方にも負担の少ない治療となっています。
                                         
            
図8: バルーン(風船)治療                              図9: ステント留置術


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