あの人は薔薇が嫌い−7−





ハーデスによって蘇った聖闘士達を前に、シオンが言う。

「我ら一同、未来永劫、逆賊の謗りを受けることになるが・・・異存はないな!」



「何だ、デスマスク。」
「先鋒は俺とお前ってことだ。・・・愛しのと再会している時間は無さそうだな。」
デスマスクとアフロディーテの背後で、その言葉をじっと聞いていた男・・・。


「・・・アフロディーテ様。」
「ミスティ。話したいことがあるのはよくわかっている・・・しかし我々には時間が無いのだよ。」
ミスティはぎゅっと唇を噛む。しかし、アフロディーテとここで醜く罵り合うなど、彼のプライドが許すはずがなかった。
「・・・私は、白銀聖闘士達とシベリアへ向かいます・・・御武運を。」




「・・・!」
ははっと目を覚ました。
(「また・・・二人の夢・・・。」)
どうせもう二度と会えないなら、もっと幸せな夢が見たい。
ミスティと初めて結ばれた夜の記憶。
アフロディーテと最後に交わしたくちづけ。そして、遂に叶わなかった、彼との・・・。
思わず、身体が熱くなる。


、大丈夫かい?・・・あんたはまともに起きたことがないね。いつもこんなに汗びっしょりにして・・・。さ、朝食だよ。今日こそはちゃんと食べるんだ。」
シャイナは日々憔悴してゆくに付き添い、泊り込みで世話をしてくれている。
「・・・。」
「ど、どうしたの?シャイナさん。」
シャイナが仮面の下で泣いている。
「・・・、太陽が・・・再び姿を現した。グレイテスト・エクリップスは止められたんだ・・・。」
「え・・・闘いが終わったということなのですか!」
「・・・ああ、間もなく、アテナが戻られる。」
「アテナ・・・それでは、聖闘士達は?」
「わからない・・・でも、きっと帰って来るよ。・・・アフロディーテも。正義の為に闘ったのだから。」


(「いつ・・・戻るの?アフロディーテ様・・・・?あっ、でも・・・ミスティ様のお墓も掘られていた・・・。ミスティ様も、12時間だけ生き返ってたのかな?だとすれば・・・。」)
はベッドを飛び出した。
!まだ寝てなきゃ・・・!」


どうして走っているのか、わからない。
(「私は、誰に会おうとしているの・・・?ミスティ様?アフロディーテ様?」)
その時、まぶしい光が聖域中を包んだ。


「うわ・・・何?!」
は思わず目を瞑る。
「・・・アテ、ナ?・・・まさか、あれが・・・アテナ・・・。」
突如そこに現れた、長い髪の美少女・・・黄金の鎧をまとっている。その姿はまごうことなき女神アテナ。
そして・・・傷ついた少年達・・・その中には、あのペガサスとアンドロメダの聖闘士の顔もあった。
「アテナ・・・ですか?」
少女はにっこりと笑う。
「貴女の大切なひとを・・・お返ししますよ。」


「・・・。私の。」
忘れるはずのないその声。









ここからは選択制になります。の背後から聞こえてきた声は誰の声だったでしょう?

ミスティ

アフロディーテ