あの人は薔薇が嫌い−7・続編(アフロディーテ編)−





きらめく黄金の聖衣。それは・・・まごうことなく・・・あたたかく、懐かしい小宇宙。
「ア・・・アフロディーテ様!」
「ただいま・・・。」
「アフロディーテ様、怪我は?ねえ、あのね・・・。私、いつもね・・・。」
。早く・・・女神神殿に行くんだ。私が連れていってあげよう。」
「え・・・?」
「皆・・・戻ってきている。君のミスティも。」
「ミスティ様が・・・。」
アフロディーテは手を差し出した。
「さあ・・・急ごう。どうした?」
「嫌・・・行かない。」
はアフロディーテの首に抱きついた。
・・・。」
「アフロディーテ様は・・・もう、私のこと好きじゃないの?」
いつもいつも優しすぎる彼に、は苛立っていた。
。また私に意地悪をする気だね・・・?」
「私は、アフロディーテ様を待っていたんです・・・ずっと。」
アフロディーテの心が疼く。ミスティの手に渡す前に、彼女を自分のものにしてしまいたいと。
の額にキスだけをして、その気持ちを葬り去った。
「いけない。そんなことを言っては・・・。無理をしているんだろう?いいんだよ。私のことな・・・。」
「愛しています!」
は叫んだ。
初めて、自分の気持ちに素直になった。
ミスティが戻って来る。それは確かに嬉しい。けれど、それはもう愛情というものではなくなっていた。


・・・?」
「アフロディーテ・・・もっと、もっとキスして。」
の熱に浮かされたような瞳が、アフロディーテを突き刺す。・・・もう、アフロディーテはその甘く可愛らしい誘惑に抗えなかった。
「んっ・・・。」
何度も繰り返し刻み付けられる、アフロディーテの刻印。
は、彼の唇の音に、身体をますます熱くさせていた。


「アフロディーテ様・・・。」
アフロディーテはくちづけの余韻にひたりながら、の髪を優しく梳いた。
「何?」
「お疲れでしょう?早く、帰りましょう。」
「帰る・・・?」
「アフロディーテ様の宮。すぐに・・・お掃除しますから。ごめんなさいね。私ったら弟子のくせに、師匠の宮を放ったらかしにしてて。」
・・・まだ私の弟子でいてくれるのかい?もうその必要は・・・。」
はにっこりと笑い、ずっと髪に挿していた白薔薇を抜いた。
「私は・・・ずっと、ピスケスのアフロディーテ様の一番弟子ですよ。先生v」
くすっと笑い、はアフロディーテの真似をして薔薇を構えた。
・・・。」
アフロディーテは流れ落ちる涙を隠すように、の胸に顔を埋めた。


「ずっと・・・一緒に暮らしてもいいですか?」
「ああ・・・双魚宮はと私の、二人のための宮。」
「今夜は何が食べたいですか?アフロディーテ様・・・。」
アフロディーテはふふっと笑い、の手を引き寄せ、甲にくちづけた。


二人の新しい日々が、今日から始まる。






この続きは裏に・・・




END