肛門の痛み(1)
お尻が痛い、肛門が痛いという経験を、皆さんも一度や二度したことがあると思います。
肛門が痛くなる原因には、3つの代表的な病気があります。
     1)裂肛(いわゆる切れ痔)
     2)血栓性外痔核(いぼ痔の一種)
     3)肛門周囲膿瘍(痔瘻)
 今回は、裂肛についてお話します。裂肛は、太い硬い便が出たとき、何回も下痢したときに、肛門に傷が出来て起こります。多くの方が経験する肛門痛です。痛みの他に、出血を伴うことが多いです。傷は、肛門のすぐ内側に出来、外からは見ることは出来ません。
また、よく出来る場所があり、尾てい骨側とその反対側(陰茎、会陰側)です。たいていの場合、2,3日で症状は治まります。
 ただ、裂肛を何回も繰り返すと、たいへんなことになることがあります。肛門は、そのすぐ内側に内肛門括約筋があります。この筋肉が肛門を閉めるために1番働いています。裂肛を繰り返すと、炎症が内肛門括約筋に波及し、この筋肉がけいれんします。これにより、常に肛門が閉まったような状態になり肛門が狭くなってしまいます。これが、慢性裂肛と言われる状態です。
 こうなると、普通の便を出そうとすると、肛門が狭いため強い肛門痛が出現します。このため、細い便、あるいは下痢便を出すしか仕方なくなります。肛門の強い痛みのため、便を出すことが恐怖となり、食事も出来なくななります。 ここまでくると、手術以外に治療法はありません。手術というと怖いと思われるかもしれませんが、内肛門括約筋の一部を切るという簡単な手術です。入院も2日間で済みます。
 このような状態で悩んでいる方は、肛門を見てもらうのは恥ずかしいと思わず、早く来院して下さい。その後の人生が嘘のように明るくなります。


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