平成19年9月1日掲載
「西国三十三観音(第六回)」H19.9.17〜18
9月の中旬ともなれば、少しは涼しくなるであろうと期待していたが、今年は地球温暖化による異常現象であろうか、2日間とも
真夏日であった。
9月の上旬に庭の草取りや槙(まき)の剪定などを頑張り過ぎて、腰を痛めてしまった。2週間は生活上最少必要なことだけして、
後は体を休めていたので観音参りがはたして出来るかどうか心配であった。特に31番の長命寺は808段の石段があり、平常体の
時さえ、私にとって808段登り切ることは難しい。まして腰痛を発症している身では、とても無理な相談であった。なんとかして
観音参りまでには腰を治したいと思い、クリニックでのリハビリと接骨院でのマッサージ、さらに極めつけは整体での指圧・・・と、
日替わりで治療した。勿論観音様に祈るだけでなく、ストレッチや体極拳など自力でも頑張った。そのおかげで、第3週目になると
腰はかなり楽になったが、無理をするとぶり返すので、行程上歩くところをタクシーを使ったり、友達が荷物を持ってくれたり、石
段を登り降りする時は友達が腕を支えてくれたりしたので、なんとか落伍することなく無事行って来れた。ツアーではなく自主プラ
ンによるスケジュールだったので臨機応変に対応してもらえてありがたかった。友達に感謝・感謝!!
上記の写真の石山寺は、境内全体が硅灰石(天然記念物)からなり、自然の形のまま庭石として組み込まれ、まわりの木々や仏閣と
調和して素晴らしい景観であった。
石山寺の本堂には紫式部が源氏物語を書いたという「源氏の間」があり、十二単衣を着て物語を書いている人形が展示してあった。
また裏山には、これまた実物大の石像も置かれていた。平安時代にこのような山奥の寺で雅やかな物語が書かれたとは以外であった。
最初の寺は12番正法寺。別名岩間寺ともいわれ、本尊は厄除け観音の千手観世音。また、ぼけ封じの寺としても有名とか。本堂
右隣りには、松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」句に詠まれたという「蛙池」があった。17日は千日会という行事があり、山
伏姿で修行している人達に出会った。
石山寺門前の茶屋で、瀬田川を眺めながらゆっくりと、昼食をした。石山寺は、とても広く、見どころがいっぱいであった。本堂
への石段を登ると波状模様の巨大な硅灰石の岩盤があった。
舞台造りの本堂の一角にたくさんの絵馬が奉納されていた。本堂には巨大な赤提灯が天井から釣り下がり、本尊の如意輪観音を拝
観することが出来た。
紫式部展を開催中だったので覗いてみた。西陣織の刺繍の技術 次は14番三井寺へ・・・京阪石山坂本線で三井寺駅まで
には驚いた。昔の人々の知恵と技術の豊かさに敬服!! 行き、琵琶湖疎水沿いに歩いた。琵琶湖から京都へと水を運
この水車は石山寺の裏庭の一角に静かに回っていた。近くに鯉 ぶ疎水は、道路の勾配と逆に流れており、1kmほど行くと
の池や洞穴があり、中を探検できるようであった。 大きな水門があり、そこからはトンネルの中へと姿をかくし
ていた。
三井寺は正式には園城寺という。ここがその正門。境内は広い 琵琶湖のほとりで1泊して、2日目は最大の難所808段
が、今、本堂を改修中でシートで覆われ拝観することは出来なか の石段段がある長命寺へ・・・。しかし、私の腰痛のため9
った。「弁慶の引き摺り鐘」という大きな鐘があるとのことだが 合目までは、タクシーで行った。残り100段は自力で石段
時間が遅かったので、これも見れなかった。 を登った。仏閣が見えた時はうれしかった。
本堂の創建は推古天皇27年(619)。正面の三重の塔は、 今回最後のお参り。皆それぞれに祈り事は違えども、ここ
高さ24.4mもあり、慶長2年(1597)に造られた物。いずれも重要 ばかりは「健康で長生き」を祈ったことだろう。私はとりあ
文化財。 えず「腰痛が治りますように!」と祈った。そして「直下型
境内からは琵琶湖の眺めが美しかった。石段を登って疲労困憊 人生の幕引き」を願った。「年金と介護問題」に振りまわさ
していた後だったので、一服の清涼剤だった。 れないことも・・・。
最後のお楽しみは計画にはなかった「水郷めぐり」。手こぎの小型舟に揺られ、1時間の水郷めぐりを楽しんだ。両岸に生える葦
すれすれに船頭さんは上手に舟をあやつりながらいろいろ説明して下さった。真夏日の蒸し暑さもどこかへ飛んで行きひんやりとし
た空気が頬を撫で、軽井沢へ行ったような心地良さを感じた。船頭さんの話によると、この水郷地帯は時代劇の撮影スポットだとか
・・・。そのため橋も年代を感じられるように作りに工夫してあるとか・・・300年位昔にタイムスリップした気分だつた。
琵琶湖大橋 水上茶室
平山郁夫画伯の「比叡山延暦寺」 佐藤忠良氏の「帽子をかぶった女子」
三十三観音参りのかたわら、こんな楽しい時間が持てたことを幸せに思う。次回のお参りは10月の中旬を予定している。