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                       平成19年10月1日掲載

西国三十三観音(第六回)12番・13番・14番・31番」H19.9.17〜18

  
                                    −13番 石山寺−

  9月の中旬ともなれば、少しは涼しくなるであろうと期待していたが、今年は地球温暖化による異常
 現象であろうか、2日間とも真夏日であった。
  9月の上旬に庭の草取りや槙(まき)の剪定などを頑張り過ぎて、腰を痛めてしまった。2週間は生活
 上最少必要なことだけして、後は体を休めていたので観音参りがはたして出来るかどうか心配であった。
 特に31番の長命寺は808段の石段があり、平常体の時さえ、私にとって808段登り切ることは難
 しい。まして腰痛を発症している身では、とても無理な相談であった。なんとかして観音参りまでには
 腰を治したいと思い、クリニックでのリハビリと接骨院でのマッサージ、さらに極めつけは整体での指
 圧・・・と、日替わりで治療した。勿論観音様に祈るだけでなく、ストレッチや体極拳など自力でも頑
 張った。そのおかげで、第3週目になると腰はかなり楽になったが、無理をするとぶり返すので、行程
 上歩くところをタクシーを使ったり、友達が荷物を持ってくれたり、石段を登り降りする時は友達が腕
 を支えてくれたりしたので、なんとか落伍することなく無事行って来れた。ツアーではなく自主プラン
 によるスケジュールだったので臨機応変に対応してもらえてありがたかった。友達に感謝・感謝!!

  上記の写真の石山寺は、境内全体が硅灰石(天然記念物)からなり、自然の形のまま庭石として組み込
 まれ、まわりの木々や仏閣と調和して素晴らしい景観であった。
  石山寺の本堂には紫式部が源氏物語を書いたという「源氏の間」があり、十二単衣を着て物語を書い
 ている人形が展示してあった。また裏山には、これまた実物大の石像も置かれていた。平安時代にこの
 ような山奥の寺で雅やかな物語が書かれたとは以外であった。

    
  最初の寺は12番正法寺。別名岩間寺ともいわれ、本尊は厄除け観音の千手観世音。また、ぼけ封じ
 の寺としても有名とか。本堂右隣りには、松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」句に詠まれたという
 「蛙池」があった。17日は千日会という行事があり、山伏姿で修行している人達に出会った。

    
  石山寺門前の茶屋で、瀬田川を眺めながらゆっくりと、昼食をした。石山寺は、とても広く、見どこ
 ろがいっぱいであった。本堂への石段を登ると波状模様の巨大な硅灰石の岩盤があった。
  舞台造りの本堂の一角にたくさんの絵馬が奉納されていた。本堂には巨大な赤提灯が天井から釣り下
 がり、本尊の如意輪観音を拝観することが出来た。

    
  紫式部展を開催中だったので覗いてみた。      次は14番三井寺へ・・・京阪石山坂本線で
  西陣織の刺繍の技術には驚いた。昔の人々の知恵  三井寺駅まで行き、琵琶湖疎水沿いに歩いた。
 と技術の豊かさに敬服!!             琵琶湖から京都へと水を運ぶ疎水は、道路の勾
  この水車は石山寺の裏庭の一角に静かに回ってい  配と逆に流れており、1kmほど行くと大きな
 た。近くに鯉の池や洞穴があり、中を探検できるよ  水門があり、そこからはトンネルの中へと姿を
 うであった。                   かくしていた。

    
  三井寺は正式には園城寺という。ここがその正門。  琵琶湖のほとりで1泊して、2日目は最大の
 境内は広いが、今、本堂を改修中でシートで覆われ  難所808段の石段がある長命寺へ・・・ し
 拝観することは出来なかった。「弁慶の引き摺り鐘」 かし、私の腰痛のため9合目まではタクシーで
 という大きな鐘があるとのことだが時間が遅かった  行った。残り100段は自力で石段を登った。
 ので、これも見れなかった。            仏閣が見えた時はうれしかった。

    
  本堂の創建は推古天皇27年(619)。正面の三   今回最後のお参り。皆それぞれに祈り事は違
 重の塔は、高さ24.4mもあり、慶長2年(1597)に造  えども、ここばかりは「健康で長生き」を祈っ
 られた物。いずれも重要文化財。          たことだろう。私はとりあえず「腰痛が治りま
  境内からは琵琶湖の眺めが美しかった。石段を登  すように!」と祈った。そして「直下型人生の
 って疲労困憊していた後だったので、一服の清涼剤   幕引き」を願った。「年金と介護問題」に振り
 だった。                     まわされないことも・・・。

    
  最後のお楽しみは計画にはなかった「水郷めぐり」。手こぎの小型舟に揺られ、1時間の水郷めぐり
 を楽しんだ。両岸に生える葦すれすれに船頭さんは上手に舟をあやつりながらいろいろ説明して下さっ
 た。真夏日の蒸し暑さもどこかへ飛んで行きひんやりとした空気が頬を撫で、軽井沢へ行ったような心
 地良さを感じた。船頭さんの話によると、この水郷地帯は時代劇の撮影スポットだとか・・・。そのた
 め橋も年代を感じられるように作りに工夫してあるとか・・・300年位昔にタイムスリップした気分
 だつた。

 ・・・ おまけコーナー ・・・       佐川美術館にて

  お参りツアーだと7時頃朝食、8時には宿を出発というケースが多かったが、せっかく家事から解放
 されストレスを発散させ、「明日からまた頑張ろう!」とエネルギーを充電するには、朝ゆっくりでき
 るのが最高のリフレッシュになると思い8時朝食、9時出発することにした。
 琵琶湖と琵琶湖大橋がよく展望できるホテルの13階でバイキングの朝食だった。他のお客さんはみん
 な出発した後で私達だけの貸切りレストランだった。
  いざ長命寺へ向けて出発!という直前になって、ホテルの近くに「佐川美術館」があり開館している
 ことが分かったので、急きょ予定を変更して佐川美術館を見学してから長命寺へ行くことになった。
  元気モリモリの4人は歩いて、私は体力を残しておかないと長命寺の石段が昇り降りができないとい
 けないのでバス(5分)で佐川美術館へ向かった。
  「佐川美術館」は「佐川急便」の創業40周年記念行事の一環として琵琶湖を望む美しい自然に囲ま
 れた近江・守山の地に1998年3月22日に開館された。ここには日本画家の平山郁夫、彫刻家の佐
 藤忠良、陶芸家の楽吉左衛門の作品を中心に展示されていた。
  特に「水上茶室」は三日前にオープンしたばかりで、外からは水面に浮かんでいるような茶室は水面
 より下にあり、地下空間に 2.5畳の小さな茶室が別世界のような静寂さを保って造られていた。上を
 眺め上げると水面に日光が射し込み、やわらかい光が波形にキラキラと壁に反射して、あたかも自分が
 魚になって水上の人間を眺め上げているような非現実的な感覚になった。

    
                 琵琶湖大橋                 水上茶室

    
        平山郁夫画伯の「比叡山延暦寺」      佐藤忠良氏の「帽子をかぶった女子」

 三十三観音参りのかたわら、こんな楽しい時間が持てたことを幸せに思う。次回のお参りは10月の中旬
を予定している。