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                          平成19年12月1日掲載

SLの旅」H19.10.24

  
   退職後健康維持・推進のために週一回体極拳を習っている。そのグループの「大井川鉄道・SL
  の旅」に参加して数十年ぶりにSLに乗った。
   武豊線でも昔SLが走っていたが、ディーゼル車が登場し、今は電化されている。時代の移り変
  わりの生き証人みたいなSLが今現役で活躍していることに感激!大井川鉄道では観光客のために
  1日2往復のみ走らせている。
   バスで午前6時半に出発し、伊勢湾岸道路・東名高速を走り、途中静岡の「お茶の里」で休憩。
  お買い物をして、新金谷駅に着いた。そこから大井川鉄道のSL列車に乗り換え、千頭駅でアプト
  式鉄道に乗り換えた。アプト式というのは、「大井川鉄道建設に携わっていたイギリス人技師のア
  プトさんという人が急勾配な山道を機関車を押し上げるために歯車を使って列車の後ろから押し上
  げる方式」を考案したことから名づけられた。(下りは先頭でブレーキの役目をする。)この方式
  によって、普通の機関車ではとても登ることの出来ない坂道でも歯車をかみ合わせながら登ること
  が出来るのだそうだ。
   子どもの絵本に「機関車やえもん」というのがある。真っ黒な煙をはきながら、のそのそあえぎ
  ながら走る「やえもん」の横をディーゼル機関車がスイスイと追い越していく。子どもたちは「わ
  −い石炭くいのやえもん、ヤーイ!石炭食ってうまいかー」とはやしてバカにした。しかし、やえ
  もんは、歯を食いしばって村から村へと走っていたが、煙突から煙や火をふくので、畑の稲穂に火
  が落ち火事を起こしてしまった。人々は口々に「やえもんをやめさせろ!」とさわいだので、つい
  にやえもんはスクラップにされそうになったが、長年の働きが認められて「鉄道博物館」に保存さ
  れることになり、人々の心の中に生き続けている。そんなお話を思い出しながらSLの旅を楽しん
  だ。
 
    
   東名高速相良・牧の原ICを降りてJR金谷    新金谷駅からSLに乗った。昔ながらの石
  駅の近くのプラザロコにドイツで製作された初   炭を釜にくべていた。夏は大変暑いことだろ
  代のSLや鉄道模型や古い駅舎などが展示され   う。この作業のおかげて重く大きな機関車も
  ていた。さながら「鉄道博物館」のようだった。   動きだした。シュッポ、シュッポ・・蒸気を
                          あげる姿は勇ましい!
    
   SLは大井川を右手に左手にとくねくねと蛇    途中いくつかの駅で停車した。その度にホ
  行して走り、まるで川が生きている様だ。梅雨   ームに降りてSLの横顔を撮った。すっかり
  期には水量が増え「起すに起されぬ、大井川」   童心に返っていた。どうしてこうまでもSL
  と言われていたのが実感された。         は人の心をとりこにするたのだろう?
 
    
   固い座席、網の荷物棚、天井はかまぼこ型、    千頭の駅でいったんSLを降り、隣りのホ
  電燈はシャンデリア風、窓は上下に動く。みん   ームに止まっていた「南アルプスあぷとライ
  な古い記憶に残っている。そこへ名物車掌の登   ン列車」に乗り移った。ここからは「アプト
  場。車窓から見たたぬきの置物そっくりの姿。   式鉄道」急勾配の地形のため、千頭からは二
  おもしろくおかしくSLについて説明。サービ   本の線路の真ん中に歯車があった。客車の後
  スでオカリナを演奏してくれた。         から押して走る仕組み。
 
    
   車窓からは一面の茶畑が、次から次へと目に   大井川に沿ってどんどん上流に進むにつれて
  飛び込んできた。このあたりの茶畑は、機械刈  川幅がせまくなり杉林がシルエットとなって美
  りだそうで、きれいなかまぼこ型に刈られてい  しい風景が続き気持ち良かった。
  た。
 
    
   接岨峡温泉「関の沢鉄橋」。
  南アルプスあぷとライン列車の中から眺めたこ   南編アルプスあぶとライン列車にアプト式機
  の光景は絶景であったが、残念ながら紅葉には  関車を接続しているところ。右の列車が左の列
  少し早かった。                車を押して左方向に進んで行く。
 
    
   長島ダムは「CSG工法」(セメントで固め   車窓からほんの一瞬この「音無しの滝」が見
  た砂礫)という工法が採用されている。この工  えた。夢中でシャッターを切ったら、偶然運良
  法は工事費が安く、環境にもやさしいという特  く真ん中に写っていた。ラッキーだった。今の
  徴をもっており、現在は多くのダムで採用され  デジカメは感度が高く、シャッター速度も速い
  ているという。                ので、走る列車やバスの中からでも手ぶれする
                         ことなく静止画像が撮れるのでありがたい。
 
    
   接岨峡温泉駅で下車。SLの旅は終わった。駅から2〜3百メートル歩くとバスが出迎えてくれ
  ていた。帰りはバスで下山。さきほどSLで登った線路を今度はバスの窓から「あんな高い所をS
  Lで通ったんだ・・・・」と改めて感じた。
   1分・1秒でも早く・・・とスピードアップを必死で求めている現代に、SLのようなのんびり
  と時を刻む乗り物があってもいいと思う。いや無くしてはいけないと思う。スローライフも必要な
  ことではないだろうか。
   今回のSLの旅は現代人が忘れかけている古き良き時代を思い出し、現在のせせこましい生活を
  見直すよい機会となった。何事もフィールドバックしつつ前進していきたいと思う。