過去の遺物  ご覧のページは 迷作全集(かさかさ地蔵) です。


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かさかさ地蔵

 

 

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【第一話】

昔むかし、山の奥のまた奥にスー婆さんと はな毛婆さんという姉妹の老婆がおりました。二人は大変貧乏でしたが、毎日内職のさるぼぼを作りながら、仲良く暮らしておりました。ある冬の日、二人の婆さんは町へさるぼぼを売りに行きました。その帰り道、雪が激しく降って来たので、はな毛婆さんは 「ねえ様、はよ帰らんと遭難するでよ〜」 と言いま した。ようやく家に近づきホッとした二人は、道端に立つお地蔵さんに目をやりました。そのお地蔵さんとは、一升ビンを抱え少し酒臭い“お祭り地蔵”、ヒビの入った茶わんを持つ“木暮地蔵”、体重計を持った“タニタ地蔵”、片手にくわを持つ“田耕作地蔵”、鮒寿司を持った“トットロリン地蔵”、海外旅行のパンフレットを持つ“ミッキ〜地蔵”、ゆでだこを持ち、わき毛ボーボーの“いっちゃん地蔵” の七人でした。雪が積もって寒そうにしているお地蔵さんにスー婆さんと はな毛婆さんは、自分がかぶっていた笠を取り、お地蔵さんにかぶせて帰りました。家に着いた ばあさん二人は、「今日はお地蔵さんにええ事したで、近いうちにきっとお礼の品物がどっさり届くよ」 と言いながら眠りに就きました。                つづく

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【第二話】

婆さん二人がお地蔵さんに笠をかぶせてから、二日経っても三日経ってもお礼の品物は届きません。二人の婆さんはもう一度、お地蔵さんを見に行きました。すると笠はちゃんと二つあったのですが、最初にかぶせたお地蔵さんとは別のお地蔵さんが、笠をかぶっています。スー婆さんは、「あれ?この前と笠の位置が違うがん」 と言いました。はな毛婆さんも、「本当だがや。わしら、触っとらせんのにおかしいが・・・」 と納得がいかないままその日はそのままにして帰りました。次の日、二人の婆さんは再びお地蔵さんを見に行きました。すると昨日とはまた違うお地蔵さんが、笠をかぶっていました。スー婆さんとはな毛婆さんは、「ほれ見てみい、また笠の位置が変わっとるがね」 と言いながら、よ〜くお地蔵さんを見てみると、お地蔵さんにちょっとした変化がありました。あるお地蔵さんは頭にたんコブができ、また別のお地蔵さんの顔には青あざがあったり、泣いた様なあとがあったり・・・最初見た時は、ヒビが入っていただけの茶わんは、ふちが欠け、一升ビンの酒は半分以下に減り、旅行のパンフレットはボロボロ、足元には引きちぎられた、わき毛が落ちていたりと惨たんたる状態でした。不審に思った婆さん二人は、その日夜が更けるのを待って、こっそりお地蔵さんの様子を見に行きました。         つづく

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 【第三話】

草木も眠る丑三つ時、ヒュ〜ドロドロドロ・・・お地蔵さんの様子を見に行った婆さん二人は、ア然としました。何と七人のお地蔵さんは、二つの笠を取り合い壮絶なバトルを繰り広げていたのです。「笠をこっちに寄こさんかい、アホンダラ!」 「やかましい、今日はわしがかぶるんじゃ!」「痛っ!わき毛引っ張るな、たあけ!」 と、お地蔵さんとは思えん言葉を吐いていました。二人の婆さんは、見かねて仲裁に入りました。スー婆さんとはな毛婆さんは、お地蔵さんに謝りました。「七人おるのに、二つしか笠をかぶせんかったわしらが悪かった。ちゃんと人数分の笠を揃えてやりゃあ、こんな事にはならんかったんだで、本当にごめんだよ。これ以上、ケンカせんでもええように、この二つの笠は持って帰るで・・・」 と言い、笠を取り上げるとトットと帰って行ってしまいました。数日後、婆さん二人は、このお地蔵さんの話を、ホームページに載せました。と同時に、日本中から観光客がどっと押し寄せました。七人のお地蔵さんは、二つの笠が発端で有名になった事から、笠×2で 「かさかさ地蔵」 と呼ばれる様になり、今でも大切にされておりますとさ、めでたし、めでたし。

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