障害者コミュニケーション
1年後期レポート(1578文字)

「聴覚障害者とコミュニケーション」
~ノートテイク体験・メールコミュニケーションについて~

 僕が聴覚障害者の人と初めてコミュニケーションをとったのは、大学に入ってからでした。下
宿をしているアパートの隣の人が聴覚障害者の方で、挨拶回りをしているとき、「私は耳が聞こ
えません。これからよろしくお願いします。」と、紙に書いてわたされたとき初めてこの人は聴覚
障害者なんだと思いました。その紙を受け取るまでは、まったく普通の人だと思っていたのでと
ても驚きました。聴覚障害は、外見だけではわからないということを身をもって体験しました。
 そして大学入学後、僕は校内の障害者ボランティア登録をしました。そこで、最初に依頼され
たボランティアはなんとノートテイクでした。「えっ!?自分に本当に出来るのか!??」という
のが率直な感想でした。

 最初のノートテイクの日、ちゃんとやれるか不安や戸惑いをもったまま講義に望みました。初
めて本人と顔をあわせたとき、「よろしくお願いします。」と微笑んで挨拶をしてくれ、そんな不安
なんかどこかに吹き飛んでしまいました。ところがノートテイク未経験の僕にとって講師の話し
ていることを書き取ることは、とても困難でした。いつも書いていて思うことは"本当に本人に伝
わっているだろうか、ちゃんと理解してくれているだろうか。"という疑問がありました。ノートテイ
クにも慣れ自信がついてきたころ、今度は本人との直接的なコミュニケーションをとりたいと思
うようになりました。もう一人のノートテイクの人は、手話をすることができ、本人といろいろとコ
ミュニケーションをとっている姿を見て、手話の出来ない僕は何ともいえないもどかしさを感じま
した。

そこで僕は本人と携帯のメールでコミュニケーションをとるということを考えました。普段口に出
していえない・伝えられない内容のことでも、メールを通してなら率直に伝えることができ、その
人の意外な一面も知ることができ、コミュニケーションがちゃんと取れているなととても感じまし
た。普段のコミュニケーションをとる場合のメールなら問題ないと思うが、重要な伝達がある時
などはメールがまったく役に立たない場合もあります。

 以前にノートテイクの時間になっても本人が来なかったことがありました。その時、何も連絡
を受けていなかったのでその人がくるまでずっと待っていました。結局、本人は来ませんでし
た。後日、こなかった理由を聞いてみると「携帯が壊れちゃって連絡ができなかった。」と、言わ
れました。

 私たちが普段当たり前だと思っている携帯電話の音声通話やメール機能など、健常者にとっ
てそれがなくてもさほどコミュニケーションの伝達には不自由はないが、聴覚障害者の方たち
にとっては今ではなくてはならない重要な意思伝達ツールになっていると僕は思います。
数年前まではまったく予想もしなかった「携帯電話」という小型通信機器の発達により障害者
(聴覚障害者以外も含む)の新しい世界を広げています。生活必需品になりつつある「携帯電
話」の驚くべき進化によって、社会の情報化コミュニケーションがどんどん盛んになっていくと同
時に、聴覚障害者の方たちにとっては「メール」という新しいジャンルの情報伝達手段によって
いつでも、どこでも、誰とでも手軽にコミュニケーションが取れる時代がやってきました。
近い将来、人々の情報伝達手段は驚異的なメール機能の進化によって言葉なしの「メール」だ
けの時代が来るかもしれません。もし、このような時代が訪れたとしたら、世界中から「聴覚障
害」という言葉自体がなくなると思います。

 確実に進化しつづけている携帯、メール、情報科学のジャンルが聴覚障害者のコミュニケー
ションを広げ、そしてよりいっそう豊かにしていくと僕は思います。


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