今回は中間整備について取材しました。中間整備の狙いとしてはエンジンのパワーをレース中に見る中で舟脚が他の選手と明らかに違う場合、またエンジン勝率に差がある時、エンジンのパワーを統一するために行います。大体交換する部品はピストン、ギアケースのベアリング、クランクシャフトが主です。次に整備する箇所を写真を交えて見ていきましょう。

これがギアケース。手前にあるのがギアケースに付けるベアリング。

これがピストン。左が中古、右が新品。

これがピストンにつけるリング。左が中古、右が新品。新品には膜が張られていて使用するに従って剥がれていきます。

ピストンにリングをはめてもらいました。

横から見るとこんな感じです。

リングを付けたピストンをエンジン本体に付ける。ピストンは2つ付けます。

左がピニオンシャフト。右がプロペラシャフト。

エンジンに付けた状態と照らし合わせています。

クランクシャフトはこんな風についてます。

バックラッシュの調整。これはギアのかみ合わせを調整します。若手選手が一番良くやる整備。

バックラッシュの調整には色々な大きさのリングで調整。

プロペラシャフトなどのリングにも色々な種類が・・。

終わってみて・・エンジンの調整は本当に頭が痛くなるほどです。膨大な数のパーツが詰まっている競艇用のエンジンは奥が深いです。ほんのちょっとした調整がエンジンパワーを増したり、弱くなったりすることもある。ちなみに常滑では滅多に交換パーツに新品を出すことはないそうです。最後に整備室の皆様、ご協力ありがとうございました。

通りすがりの業界関係者さんに間違っている箇所を指摘して頂きました。ありがとうございます。間違った説明をして皆さんごめんなさい。お知らせです。(^_^; ボートは、今年度からまた新型になりますよ。(各場とも年1回のボートの更新時に新型になる予定です。) YM-730型といって、姿かたちはYM-710と一緒なのですが、ボートの先端160mmが合成ゴム製となります。重傷人身事故防止のためです。

〜もっともっとエンジンについて知ろうよ〜エンジン整備の重要ポイントを選手が詳しく説明!

ギヤケースは1/100の世界です。ギヤケース部品は別に特殊と言うわけもなく 車のデフなんかとほとんど同じで す。 まぁ車のほうがはるかに難しい組み合わせですけどね(笑) ですから部品名称もほとんど同じでこの細かい部品の調整で成り立っ ているわけです エンジンは走れば(動けば)熱を帯びます。 この熱で金属は膨張し整備時のクリアランスではなくなっていくのです。 ですから冷間時のクリアランス(隙間)は熱膨張を考慮しある程度とって やる必要があるのです。 とくに部品と部品との組み合わせで起こるもの例えばシリンダーとピストンなどは別パーツで材質も違います。 ピストンの方が熱膨張率のいいもの対してシリンダーのスリーブ(筒部分) は鋳鉄です。ピストンはアルミ製 またギアとギアは同じ素材ではありますがピニオンギアとベベルギアではギアの枚数がちがっているんですよ このギアとギアのクリアランスを調整する薄いアルミが『シム』と呼ばれるものです。
『バックラッシュの調整には色々な大きさのリングで調整。』 とありますが ここはシムという調整用の金属板です。 薄さはそのクリアランスに応じて組みこみます。 0.05、0.10、0.15、0.20と4種類 クリアランスが例えば 0.35の場合 0.15+0.20と言う具合で調整 します。 このシムは ほとんど絶対にエンジンならばある部品です。 ピストンのようにメジャーな部品ではないので(笑)知ってる人はエンジンをよ く分解してる人とかでしょうがこの縁の下の力持ちを除いてエンジンは稼動すらできません。 ボルト一個その締めつけトルクナット一個またまたこのシム・・。 どれかひとつでも足りなければ高性能ピストンだって良いペラだって動くこと もできないのですよ。 当然レースなんかできませんよね。ギアのバックラッシュ調整とはこのシム調整です。 選手がコメントで「ギヤケースをやった」というのはだいたいシム調整が多いですね。 これは自分の持ってるペラの相性によって調整します。 ペラとギアケースをマッチングさせるのがこの”シム”と言う部品です。