血液内科
H23.03更新
T.血液内科とは

血液内科は血管内を流れている赤血球、白血球、血小板、抗体、凝固因子、リンパ節及び脾臓などの造血器の疾患に対し、内科的診療を行う科です。

U.血液疾患で見られる症状は?

血液疾患でよく見られる症状は、貧血による息切れ、発熱(主に感染)、出血症状、リンパ節の腫大などです。また、検診などの血液検査値異常の精密検査が受診の契機となることも少なくありません。

V.具体的な血液疾患

   頻度の高い主な血液疾患には以下のものがあります。
  • 各種の貧血(鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、悪性貧血など)
  • 各種の白血病(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病など)
  • 悪性リンパ腫(ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に区別するのが一般的)
  • 多発性骨髄腫
  • 血小板減少性紫斑病、血友病、DICなどの出血性疾患
    血液疾患の中で、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの悪性疾患(いわゆるがん)を造血器腫瘍と総称します。
W.治療法

   疾患によりいろいろな治療が行われます。
    1.造血器腫瘍に対する治療

1) 抗がん剤による化学療法
 白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍に用いられます。それぞれの腫瘍に対し、それぞれの治療効果の成績(エビデンス)に基づいた抗がん剤(一般的には複数の薬剤)を副作用に注意しながら投与します。
 抗がん剤は細胞毒ですので、正常の細胞にも影響(副作用)を起こしますが、最近では、副作用を少なくするため、嘔気に対する制吐剤や、減少した白血球を増加させる薬などにより患者様の症状が緩和されています。

2)分子標的治療
 近年、慢性骨髄性白血病に対するイマチニブ(グリペック)のように、がん細胞の分子異常を標的とする薬剤が開発され、良好な治療成績が報告されています。

3)抗体療法
 がん細胞の表面の抗原に薬剤(抗体)がついて抗腫瘍効果を発揮する薬剤が開発されています。悪性リンパ腫のCD20抗原に対する抗体(リツキサン)は臨床効果も抗がん剤に匹敵するこが知られています。

4)骨髄移植
 骨髄移植とは患者様に大量の抗がん剤を投与して(前処置と言います。時に放射線も照射)患者様の骨髄細胞をほとんど無くなった状態にしてから、事前に組織適合抗原が一致する他人から(同種骨髄移植)あるいは自分自身から(自家骨髄移植)採取した血液幹細胞を移植することをいいます。患者様の低下した骨髄機能に代わって移植した幹細胞が増生するとともに、また、同種骨髄移植では移植された細胞の免疫力が腫瘍に対し効果を発揮します。

    2.貧血に対する治療

 疾患により、鉄剤・ビタミン剤・免疫抑制剤等の投与や脾臓摘出などを行います。

X.各種の支持療法

 血液疾患では、病気そのものに対する化学療法や骨髄移植の後で、感染(発熱)に対し、抗生物質を、また、貧血や血小板減少症に対し、成分輸血を施行します。白血球が減少し感染を起こしやすい状態では空気中の細菌等をフィルターで除いたクリーンルームを使用することがあります。

Y.当院の血液疾患の患者数

 当院に血液疾患でかかっている患者数は、2006年では、各種の白血病:約20名、悪性リンパ腫:約25名、骨髄異型性症候群:約30名、貧血:約10名、骨髄腫:約20名、その他:約10名です。

Z.当院血液内科への診療案内

血液内科の担当医は、高木 規夫 診療局長兼務 内科統括部長兼臨床検査センター部長兼輸血室長(外来診察日:火・木)です。