誓い
。
愛しい。私だけの・・・。
消滅する瞬間、彼女の笑顔が見えた気がした。
何度も生まれ変わって、もう一度巡り会うことができたら。
今度こそ、お前と・・・。
私は還ってきた。
光り輝くこの世界。
のいる場所。
気が付くと、私を覗き込んでいる12人の黄金聖闘士と、青銅聖闘士達。
傷ついた星矢を抱いているアテナ。
ああ・・・私が・・・一番遅かったのか・・・ここは?
12人?
「サガ・・・兄さん。気付いたか?」
・・・ああ、カノン・・・私の弟。
「皆・・・還って来られたのだな・・・。」
「サガ、歩けるようなら、早く行っておあげなさい。」
「・・・アテナ?」
「さんの所へ・・・。」
「・・・。」
「そうですサガ。貴方の幼馴染みのさんは・・・今、私に仕えてくれているのですよ。」
「彼女、は・・・元気に暮らしているのですか?」
「お前が・・・わしと入れ替わってから・・・口を聞かなくなったそうじゃ。」
「シオン・・・教皇・・・。」
「12宮での闘いでの貴方のことを知って、海に身を投げたのですよ。そこをアテナが救ってくださったのです。」
「オレが海底から聖域に戻ってきたとき、一瞬笑顔を見せてくれたんだがな・・・。」
・・・私の。
許してくれるだろうか?罪深い私を。十数年もの間、お前の声を奪っていたという私を。
教皇の間の床を拭いている。
ああ・・・。
大人になっているのだな。
その身体は・・・清らかなままでいてくれたのだろうか?
「・・・!」
のの背中がビクッと震える。手に持っていたバケツがガシャン!と引っ繰り返された。
「私だ!サガだ!」
あまりに突然だったかもしれない。
「・・・!!」
は、口を開けたまま、はあはあと苦しげな息をしている。
たまらず駆け寄り、その手を取った。
名前を呼んでくれなくても・・・いい。
「・・・っ。」
の両の瞳から涙が幾筋も落ちる。
「本当は・・・お前に会いに行きたかった!ずっと、ずっと・・・。」
もう一人の自分が眠っている間に、何度お前のところに駆け出していこうと思ったか。
「・・・今・・・一人か?」
は涙を流したままきょとんとした。
「いや、今・・・恋人はいるのか?」
は私の首に手を回し、かぶりを振った。
それが、彼女の気持ちなのだと感じた。
「・・・。」
「えっ・・・。」
彼女は苦しげに声を出そうとする。
「いい・・・無理しないでくれ・・・これからは。」
私が、の声になろう。
ずっと、ずっと一緒に。
(「・・・サ・・・ガ・・・。」)
その誓いのキスを。
、今、お前の為に。
END