大事なのは・・・?






「遅いなあ・・・。」
都会の街を見下ろす高層マンションの最上階。は冷め始めた料理を前に、溜息をついた。
「今日、飲んでくるなんて言ってなかったのに!」
の恋人は・・・今やCMにも引く手数多の有名美形アーティスト。
「ガッくんのバカ・・・!」
誰か、綺麗な人が側にいるんだろうか・・・嫌な想像は膨らむばかりだった。




・・・「の彼氏ってどんな人?紹介してよ!」
・・・「ううん・・・忙しい人だから・・・。」
・・・「写真は?待ち受け画面とかにしてないの?」
・・・「そういうの、嫌いなんだって。」



(「もう、疲れちゃった。」)
親しい友人にすら、彼のことを打ち明けることはできなかった。
彼も・・・望まないだろう。は常々、彼がどうして自分を選んだのか不思議で仕方がなかった。
どこにでもいるような女の子。
彼・・・Gacktの日常は、それこそ、美しい女優やアイドル達に取り巻かれているというのに。
「あ・・・。」
静寂に耐えられずにつけたTVに、GacktのCMが流れ始めた。最近撮ったという、エステティックのCM。
裸のグラビアアイドルと一緒に映っている。
「何ともないような顔しちゃって・・・。」
はそのアイドルの体をじっと見て、また溜息をついた。
「・・・帰ろうかな。」
嫌な時に、タイミング悪く嫌な画面を見てしまった。




まさに玄関を出ようとしたときだった。
「あぁ・・・ゴメン。携帯・・・電源切れちゃってさ。」
「ガッくん・・・。」
むせ返るようなアルコールの匂いとともに、Gacktが帰って来た。
「食べないかもしれないけど・・・御飯、作っといたから。じゃあ、帰るね。」
・・・。」
そっけなく立ち去ろうとしたが、手を掴まれてしまった。
「怒ってる・・・よね?」
「別に。」
Gacktはサングラスを外した。綺麗な瞳がを刺すように見つめる。
「私は、普通の女だから。普通の恋がしたい。」
「待てよ・・・。」
更に強く手を掴まれる。
・・・本当は、早く帰りたかったよ。だけど昔から世話になってる人だったから・・・。」
「うん。いいよ。そういうことじゃない・・・私、もう自信なくなっちゃった。」
「・・・?どうしたの?急に?」
はいつの間にか泣いていた。さっきのCMのグラビアアイドルに、どうしようもなく嫉妬していた。
あの娘に比べて・・・自分は何て貧弱なカラダなんだろう。
「泣いちゃって・・・おいで。帰さないよ。」
Gacktはをぐいっと抱き締める。
「ガッくん・・・。」
その温もりを感じ、は思わず強がりを捨ててしまった。
「ごめんね・・・私、綺麗じゃなくて。」
Gacktは怪訝な顔をした。
?何言ってるの?」
「合わないよね。ガッくんに。」
「やっぱり、よくわからないけど・・・兎に角、一緒にシャワーを浴びよう?」
Gacktはいつものようにを抱き上げ、バスルームに連れて行こうとした。
「やだ。もうガッくんの前で裸になりたくない!」
「そうなの?服着たままがイイ、みたいな?」
「そうじゃなくって!・・・比べられるの、嫌なの!」
「比べる?誰と・・・ああ、そういうこと。」
Gacktは納得したように頷く。
「私、あんなに胸無いしっ!・・・て、何笑ってるの?!」
「わかってないね。」
「はあ?」
バスルームには連れて行かず、Gacktはソファーの上にを降ろした。
「大きさ・・・じゃなくて、気持ちよさなんだよ・・・。」
そんなことを言われても、にはピンと来ない・・・。
でも、その後のGacktの顔を見てやっとわかったような気がした。
(「ああ・・・そういうことなんだ・・・。」)
優しい愛撫に身をまかせながら、は甘い夢の中に堕ちていった。





END









こっ・・・こんなのでよかったかなあ・・・
魔那ちゃんの期待に答えられず、ごめんですよ〜(涙)
私もガッくん好きですわv