いつも二人で(2)
「・・・。」
老師達が帰り、私はの横たわるベッドへ向かった。
「・・・アフロ。」
はうつ伏せになって私を見ようとはしない。
「気分は・・・どうだい?少しは良くなった?」
の髪を撫でる。泣いているんだ。私はの隣に体を横たえた。
「大事なこと・・・私に言わなかったんだね。」
「・・・。」
「ありがとう。」
「えっ・・・?」
「素敵なプレゼントだ。凄く、凄く嬉しいよ。」
「お医者さんに行ったわけじゃないから・・・はっきりとは言えないけど、でも、・・・不安だったの。」
「お母さんになるのが・・・不安なの?」
それならどうして私に言ってくれなかったのかと、言おうとした。
「貴方が何て言うのか・・・。」
「私が?・・・ひどい人だな、は。私は悲しいよ?」
「だって、私達のこと、ずっと秘密にしてるから・・・。」
「それはね。」
の前髪を少し上げ、キスをした。
「他の黄金聖闘士・・・ムウも、アイオリアも、シャカも、皆君のことが好きなんだ。気付いてる?」
「えっ・・・。」
「君が、仕事をしにくくなると思ったんだ。だけど、それで悩ませてしまったみたいだね。でも、もういいよ。は私の赤ちゃんを産むんだって、皆に言うさ。他の奴らに気を使ってたんじゃないよ・・・。」
「アフロ。」
「アテナエクスクラメーション、かける3だな。」
「だ・・・大丈夫なの?」
「は気にしないでいいんだ。もう仕事はお休みだ。明日、アテナに私が・・・。」
「いいの、アテナには私が直接言いたいから。」
「わかった。でももう階段は絶対禁止だよ。私が抱いていくからね。」
「・・・はい・・・。」
双魚宮からの階段を、を抱いて上る。案の定、攻撃的小宇宙があちこちから飛んできた。
「皆・・・アテナからお話があるそうじゃ。」
を従え、黄金聖闘士達の前にアテナがいらっしゃった。が私を見る。
(「いい、大丈夫だから。」)
私はウインクした。
「皆さん、私の補佐をしてくれていたですが・・・しばらくお休みです。」
「・・・が?具合でも悪いのか?」
・・・触るなミロ。
「聞いてください!に赤ちゃんができたんですって!」
アテナは思いっきり笑顔だった。
静寂。・・・と、窓ガラスがいきなりピシピシと割れ始めた。・・・シャカの目が開いたのだ!
「本当・・・なのかね!!!」
「は・・・い・・・。」
「で・・・誰なのです?貴女を襲ったその不埒者は・・・何ならこの私が父親に・・・。」
「待て、ムウ!・・・父親はこの私、アフロディーテだ!!」
バリーン!
竜巻が巻き起こり、窓枠までも吹っ飛んだ。本当にトリプルアテナエクスクラメーションが出そうな空気だ。
「襲ったのではない。私達の愛の結晶なのだ。皆には黙っていたが・・・。」
「何を抜け抜けと!そういうことはだな、男の方がちゃんとしていなければいけないんだぞ!お前にはその知識がなかったというのか!」
「アイオロス兄さん・・・アテナの御前だぞ・・・。」
「ち、違いますアイオロス様!アフロディーテはいつもちゃんとしてくれてました!でも、100%というのはないのです!」
「何の話?ムウ様。」
「・・・・・。」
の強い言葉に、皆はそれぞれ技の構えを解いた。ただしカミュだけははあのポーズのまま、水道のように涙を流している。
「あ、・・・もういいんだよ・・・ということでアテナ、は産休ということで私の宮で暮らさせます。よろしいですね?」
私は再びを抱き上げ、アテナ神殿を後にした。
「ただいま、。いい子にしてたかい?」
「アフロ・・・どうしたの?これ・・・。」
「ふっ、素敵だろう?」
私が選びに選んだ、何十着ものフリルたっぷりベビー服にレースのカーテン付のゆりかご。双魚宮の一室はいっぱいになってしまった。
「でも、全部女の子用なの・・・?」
「だって私には娘しか考えられないんだ。そして、『ダディのお嫁さんになるのv』と言ってもらうのさ!」
「あのね、アフロ・・・ごめんなさい・・・」
「・・・え?」
「じ、実はね、妊娠・・・してなかったの・・・。」
「そ、そうなの?」
私の夢はガラガラと崩れ去った・・・。
「ごめんね。」
「いや、謝らなくてもいいよ。時間の問題だからさ。」
泣きそうなの頭を胸に抱き寄せた。
「それじゃ・・・に着せようかな。これ・・・。」
私は側にあったレースのヨダレ掛けをにつけた。
「いやっ、やめてよ〜アフロったらv」
余談
(「・・・君たちはいつもそんなことをしているのかね?」)
双魚宮の入り口では、の為に涙をのんで安産祈願をしてやろうとやってきたシャカが、茫然と立ち尽くしているのだった。
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