このページでは、Martin OOO-28SQに関するインプレッションを載せていきたいと思います。アマチュアの中のアマチュア(無線じゃないよ)がやるのですから、的確なインプレッションなどというものを期待しないでください。まぁ、いい加減なもんですからね。これから購入しようと考えている方々の少しでも参考になれば幸いです。

OOOモデルの歴史
何でもそうですが、まずOOO-28を語るにあたり、その歴史をひも解いてみよう。

OOO(トリプルオー)シリーズはドレッドノートが開発されるまではマーティンの中で最も大型のギターであった。OOOは別名をAuditrium(オーディトリアム:公会堂などの意味がある)と呼ばれ、12フレットモデルとして生産が開始されたが、1932年に14フレットのOOO-42を試作、既に生産されていたOMシリーズの生産中止を受けて、正式に14フレットに変更された。
OOOシリーズが初めて世に出たのは1902年。これは特注のみでカタログに掲載されたのは1911年である。

多くのプロミュージシャンは、ドレッドノートをステージで使い、家やスタジオではOOOを使用しているらしい。それくらい音のバランスに優れているということだ。有名なところでは、Eric Claptonの1939年製OOO-42があるが、時価一千万円は下らないだろうといわれている。1995年のGuitar of the Monthで461本限定生産されたOOO-42EC(Eric Clapton Signature Model)は、NAMMショーで発表後なんと48時間でディーラーに完売した記録を持つ。また、廉価版のOOO-28ECはD-28に次いで売れているそうだ。(黒澤楽器調べ)

歴史は判った。では一体どんな形のギターなんだろうか。ドレッドノートやOMと少し比較してみよう。
  OOO-28 D-28 OM-28VR
ブレイシング Standard 5/16" Standard 5/16" Scalloped 5/16"
ネック幅(ナット部) 1 11/16" 1 11/16" 1 3/4"
スケールの長さ Short Long Long

上表からも判る通り、基本的にはD-28と同じだがショートスケールだということ。このため、OOOは難しいポジションを要求されるフィンガーピッキングに適しているといえるだろう。ボディ形状はOMと同じでドレッドノートに比べてやや小さめである。ドレッドノートの低音と比較して柔らか目の音質といえる。
結論は、フィンガーピッキング主体なら、OOOがいいよ・・・ということかな。28はあくまでマーティンの基準とされるモデルで、お金のある人はきらびやかで高価なモデルを買うのが正しい。(しかし悔しい)

ボディー形状
「OOOモデルの歴史」でも少し触れたが、今回はそのボディー形状についての話題。
マーティンギターは、モデル名を見ればそのボディー形状が判るようにできている。下表を見てみよう。
モデル名 OOO-28 D-28 OM-42 OO-18SH HD-28VS
  15 inch 15 5/8 inch 15 inch 14 1/8 inch 15 5/8 inch
 

代表的なところで、これくらいの種類がある。ちなみにOO-18SHとHD-28VSは12フレットジョイントである。
さて、この形状によって最も影響のあるのは、もちろん音の違いだ。大橋屋当主はそこまで耳は良くないので、その当りは専門家に譲る事にする。で、かの当主がOOOを選択した理由は、その括れにある。女性にしてもウェストが細いほうがグラマラスでしょう。(^^; というわけではなく、持った感じ、すなわち足へ置いたフィット感がすごく良いのだ。また上の写真では少し判りづらいが、ボディーの厚みも影響している。ドレッドノートシリーズは最も厚い。それゆえ迫力のある低音が出てくるのだろう。しかしそれを犠牲にしても、OOOサイズを持ったときのフィット感は捨て難い。低音を犠牲にする・・・というよりバランスがとれている、と表現した方が良いのだろう。
※上表の写真は、C.F.Martin & Co.のウェブカタログより抜粋し、画像の一部を加工したものです。

超個人的見解 その壱 (Scale)
いろんなギターを弾いた訳ではないので、正確な表現は難しい。とにかく持っているギターは限られている。ヤマキとヤマハ、それにOOO-28なのである。この持ち物では、とにかく比較は難しい。しいてやるとすれば、ヤマキのドレッドノートとの比較くらいか。それでもやはり難しいものだ。

さて、OOO-28を手に入れると同時に、Eric Claptonを気取るために「Hey Hey」の練習を始めた。5弦2フレットからのスラーで始まるやつだ。さほど難しくはない割に、結構ハッタリが効くのが取り柄だ。この曲を例にとって比較してみよう。「Hey Hey」のTAB譜は「Harmony Central」にもあるから練習してね。
まず始めのスラーの部分だが、さすがにフレットが減ってしまっているヤマキでは、Unpluggedのようにフレットを通過するような音は出ない。OOO-28はまだ新しいから、それなりに出る。まぁ当然のことではある。
次のフレーズは人差指で2フレットの1~3弦をセーハし、小指で5フレットの1弦だ。これははるかにOOO-28が優勢だ。同様に4フレットと7フレット。こいつは楽である。ヤマキはブリッジを少々けずってあり、その分弦高を低くしてある。だからノーマルなOOO-28に比べれば随分と弾きやすいはずなのだが、そこはショートスケールの良いところなのかもしれない。もっともヤマキは現在、MarquisのExtra Lightをはってあるから尚更だ。The Entertainerを弾くときにも、同様に楽である。Aパートはぜんぜん問題ないのだが、Bパート以降ははっきりと違いが分かる。SQモデルは若干ネックの幅が広いはずだが、全く気にならない。逆に右手では確実に1弦1弦を引けるから、これもまた楽である。Bパート以降とはいたものの、Cパート以降はまだ弾けない。(^^ゞ
超個人的見解 その弐 (Tension)
Martin Guitar Bookによると、OOO-28のテンションは若干高めだと書いてあった。このことは少々気になっていたのだ。四方山話にも書いているが、あまり続けて弾いていないので、あまりテンションの高いギターは弾きづらいのではないか?と思っていたのである。確かにExtra Lightを張っていたヤマキに比べると、初めのうちはかなりテンションの強さを感じた。Light とExtra Lightとでは比較にならない。そこでヤマキにもLightゲージを張ってみた。弦はD'AddarioLightゲージだ。弾き比べてみて驚いた。OOO-28の方がはるかにテンションが低いのだ。で、はるかに弾きやすい。
これは一体どうしたことだろう。ヤマキは、弾きやすくするために、若干弦高も下げているのにだ。確かにギターの価格と弾きやすさはある程度までは比例することは理解できる。しかしこの違いには驚いた。自分の腕前が数段上がったような気になる。友人のD-45を弾いたときでさえこうは感じなかった。もっとも自分のものではないので、多少贔屓目には見ているけどね。
超個人的見解 その参 (Trim)
一応、高価なギターだもの、少しくらいの飾りは欲しい。昔あこがれていたのはD-35。D-28と外観を比べてみると、サイドトリムが違うのだ。OOO-28も、ボディー周りは白いトリムが付いているが、ネックには付いていな

い。これが外観では結構見劣りがするように感じるのだ。アヴァロンまで使って飾りたくる必要もないけれど、少しくらいの華やかさも欲しいのだ。

OOO-28 SQを購入して約半月が経過したところで、あることに気がついた。それは左手である。いわゆるフォークギターだから、人差指を使ってセーハするようなことはしない。5~6弦は親指で押さえるのだ。従来のヤマキを使っていたときには、親指を多用すると、親指の間接が痛くなってくるのである。このため、弾けなくなる事もしばしばであった。しかしこのOOO-28 SQではそれが全くないのだ。いろいろと要因を考えてみたところ、ネックサイドのトリムではないかと思い当たったのである。
すぐに弾き比べてみた。やっぱりそうだ。ヤマキはOOO-28 SQに比べて、ネックの厚みも薄いのだけれど、トリムが邪魔をしているのだ。OOO-28 SQは、親指が素直にスッという感じで出るのだ。新しい発見である。じゃあ、同じマーティンでも35以上のシリーズは一体どうなんだろうか。生憎と持ち合わせていないので比較ができないのが寂しい。(1999/08/16)

有名人のギター
その道で食っている人だからして、それなりの道具を使うのは当然のこと。やはりマーティンフリークも多いのである。興味のあるアーティストのギターを、雑誌から拾い上げてみた。
石川鷹彦 D-76 D-45 D-18 OO-21
さだまさし D-45 DX      
南こうせつ D-76      
伊勢正三 D-45 D-28 D-28Custom  
森山良子 OO-45 OOO-45 OOO-28G 5-18
坂崎幸之助 D-45 D-18 D-28 OOO-28
なぎら健壱 D-35 HD-28 O-16  

ご覧の通り、一流芸能人はこれくらいの持ち物があるのだ。もちろん全てではないだろうがけど、大したもんだ。特筆なのは、さだまさしの持っている「D-45 DX Tree of Life」だ。定価は360万円。上には上がいるものだ。あたしゃ19万円の中古ギターを買うのにも四苦八苦しとるのにねぇ。
さて、上表はたぶんマーティンフリークのほんの一部だろう。これくらいアーティストに利用されているマーティンだからして、その性能は押して知るべし。一介のサラリーマンですら腕を上げた・・・と感じるくらい良いのだ。もちろんオーナーの贔屓目は大きいよ!(1999/08/25)

ちょっと淋しい今日このごろ
そろそろ秋風が吹く季節になってきました。日中は暑いのに、明け方は布団が必要なくらい涼しくなってきました。いよいよ湿度が下がる季節ですね。
とはいえ、連休中に弾きまくっていたときとは違い、毎日仕事に出かけなければいけない。一応SQだし、まだ新しいから、弦を弛めて保管している。帰宅してから弾こうとしても、要するに面倒なのである。おまけによるだから、家の中であまり大きな音を出せない。庭に出てもまだ蚊に食われる。ヤレヤレ・・・ということで、ここしばらくは、週末ギタリストなのである。まぁ、左指のタコも落ち着いてくるし、悪くはない。しかし週末だけだと、どうしても右指の動きが悪いのだ。こればかりは、毎日弾くのが良いのでしょう。
そうだ、そろそろ弦も換えなくちゃいけないな。8月の初めだから、もう1ヶ月経過してしまった。そういえば心持ちトーンもこもって来たようだ。今度はSPでも張ってみようかな。

 


このページの更新日 1999/09/06