制服を着たティホシ (F355のお友達の体験談)

「君の355!良い音するね〜。で、どこのマフラーこれ?」
「ええ〜っと〜。ノーマルだと思うのですがぁ。父の車なので・・・。よく解らないんですがぁ」
「ちょっと見せてくれる? ほ〜、これね〜。凄いじゃない。触媒もないよ。替えてあるよ。お父さん替えてるよ〜」
「はぁ。そうなんですかぁ。Ferrariって、みんなこーなんじゃないんですかぁ?知り合いのも良い音してますよ!」
「違うよ〜。僕の弟も355に乗ってるんだけど。違うよ〜。お父さん、良いのつけてるよ〜」

普通は嬉しいものである。しかし、誉められても全然嬉しくなかったらしい。でも、どうして。。。
何故なら、相手が白バイのお巡りさんだったのだ。

マフラーを、つい数時間前に交換したばかりの事だった。口が裂けてもそんな事は言えない。実は本人の車で、捕まるのを恐れ父の車と偽っていたのであった。隣に乗っていた彼女は、「ちょっと、ちょっと〜!!ねえねえ、ねえ〜ってばあ〜!!!」 と忠告していたにも関わらず、てっきり音が気に入らないのかと思って、"そうか〜、もっと上まで回せば良い音になるから〜。まってろよ〜" とさんざん白バイの前で踏んでいたらしい。サイレンは鳴っている。ランプは回っている。。。こうゆう時は気持ちが何処かに行ってしまっているので全く気がつかなかったらしい。流石のお巡りさんも、"どれどれ" と興味深々になったのだろう。

道路脇に寄せて、先程の会話である。てっきり「きっぷ」を切られる。。。と覚悟していたらしいが、車の話、世間話、身の回りの事を散々質問された後、「直しとく様に、お父さんにちゃんと言っておいてね。違法改造で他のお巡りさんに捕まるといけないから」 きっと、Ferrari Musicと車話が聞きたかったに違いない。と言う結論であるが、なんとも心臓にわるい出来事だったそうだ。きっと、そのお巡りさんも「ティフォーズィ」だったのだろう。そうに違いない。なんとなく、お巡りさんの事が好きになる一齣である。他人事で盛り上がってしまい申し訳なかったが、ご本人も楽しそうに話されていた。

制服を着たティホシだったのだろう。

制服を着たティホシ 完


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