携帯電話にご注意願います  1998年6月

ヒリヒリヒリ〜〜。ドライブ中に呼び出し音がなった。 "もしもし" 会話が弾む。しかし右足の感覚がどうも変だ。回転計を見た。げっ! 1500rpmあたりで走らせていた。かぶってしまったのか、吹かなくなってしまった。速攻で携帯を切るが既に遅し。完全に駄目だ。2000rpm以上吹けない。何発か完全に死んでいる。スムーズに回るはずのV8が、とんでもない音になって振動も酷い。これ以上続けるとタイミング・ベルトにダメージを与えて、駒飛びも起こしかねない。僕の心臓にも相当のダメージである。
振動の出ない回転数で騙し騙し家路についた。僕の寿命も5年分くらいは縮む出来事だった。いよいよ洗礼なのか。。。悲しすぎる。やっとの思いでガレージにたどり着きシャッターを降ろした。今日は閉店しよう。嗚呼、熱が出る。食欲も。。。
恐る恐るシャッターを開けた。何が原因なのだろう。とりあえずプラグを抜いて見た。真っ黒!やはり、、、。電話に浮かれてついつい低回転で負荷を与えたのが不幸の始まりだったのだろう。それにしてもバイクの様なプラグだ。近くのショップにも探しに行ったが置いてなく、店員さんが "お車は何ですか?" と度々聞くので、言いたくはなかったが、"Ferrari …"と答え…。う、まずい。一瞬凍った。また寒い空気が二人の間を通り抜けていった。黙ってその店を後にした。早速、友人にプラグを注文した。力強い見方である。入荷は数日後になる。交換してみない事にはプラグが原因か判断出来ないが、またまた憂鬱に陥った。。。こうゆう時は本当に心臓に良くない。気持ちズボンも緩くなった様な気がした。「Ferrariダイエット」とでも言おう。嬉しい事、悲しい事、これほどメリハリの効いた車も他にはないだろう。本当に僕は幸せなのだろうか。嗚呼。。。
プラグが入った。いよいよエンジン始動だ。キーを捻る右手に思わず力がこもる。"頼む、直ってくれ!" エンジンは難なくかかった。舐める様に右足を踏み込む。蘇った! さて、試験走向としよう。1.2.3.とシフト・アップしていく。3速2500rpmあたりでプスプス失火した感じになる。"これは?" ゆっくり踏み直す。普通に加速する。むむ??? 燃料が来ていない?そうだ、燃調が濃いと思って前もってリーンに振っていた事を思い出した。Kジェトロの燃調はエアークリーナーBOXと燃料ディスビの間に3ミリのヘキサゴンで調整する場所がある。前オーナーからも"燃調が濃いセッティングなので夏場は始動性が悪いかもしれない" と聞いていた事を覚えていたからである。高回転域で少し重い回り方をしていた事からもその感触はあったのだ。走っては止まり、また走っては止まり燃調を少しづつ調整していった。カートで言うミクスチャーを出す、そんな感じだった。こんな車も珍しいのでは。やっと、調子が戻った。以前より高回転域も気持ち良く回る様になった。"あ〜よかった" どっと疲れが出てくる。とりあえず走りは絶好調になった。しかし、本当に絶好調なのかは、、、新車の乗り味を知らないと言うのも幸か不幸か疑問でなのである。

携帯電話にご注意願います  完

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