エンジン・ルームの汚れから   1998年9月

ある日、エンジンのヘッド回りに黒い埃状のゴミが付着しているのに気づいた。最初は普通の汚れだろうと思っていたのだが、エンジン・フードの上にも同じ様な汚れが出ていたので、これは!?と思い、その原因を探す事にした。汚れの素を探っていくと、、、。なんとエアークリーナーボックスへ入るエアー・ダクトホースであった。下側がウォーター・ポンプから出るパイプと接触しているので熱と振動で劣化が速いのか孔が開いていたのだった。ボロボロになったスポンジが飛散していたのだ。取り回しの狭い所なので、どうしても当ってしまう。網状の蛇腹ホースにスポンジ状のカバーがしてあるだけなので、10年選手の車では幾ら走向距離が少ないとはいえ、賞味期限が切れて当然であるし消耗品なのであろう。いかにもFerrariらしい。
早々取り外しにかかる。右後輪を外し、フェンダーの内張りを外す。少々智恵の輪だが、あっけなくホースも外れたので、そこまでは楽な作業だった。A/C、W/P、オルタのベルトも見る事が出来るので、写真では見た事はあるが実物を見て感動していたのもつかの間、、、。ゴミかな? と思い引っ張ると、それは、ベルトが切れかけになっており、ひげ状に垂れ下がっていたのだ。残り僅か半分程、げげ…。A/Cベルトが切れかかっていた。なんと、こいつが切れると熱いドライブがさらに熱い「サウナ・カー」になってしまう。
冗談はさて置き、もし切れて最悪W/Pの軸、ベルト、プーリーに絡まると、「サウナ・カー」がどうなるかは容易に想像できる。いや、想像したくない。なんとも恐ろしい事になりそうだ。早々に万能ハサミで切り落とす事にした。"バチン"こればかりは勇気がいった。予備のベルトを持っていない。まだ9月で暑いし明日は長野方面へのツーリングである。嗚呼。。。嫌な予感。止めようかな。。。エアー・ダクトホースは、アルミテープで応急補修した。ホームセンターなどに売っている台所用の0.5mm厚の隙間テープである。案外、この手の物は日用品で何とかなる。エンジン・ルームがキラキラ光って格好良い。はははぁ。空笑い。なんとなく空しくなる。やはり嫌な予感が。。。
翌朝は予想通り絶好の快晴であった。暑くなるのだろう。憂鬱だ。集合場所で長年の友とも合流した。他にも凄い車が続々と集まって来る。何時も思うがほんとうに凄い世界だ。それと既に気温も良い感じである。ふぅ〜。Ferrariの室内で「うちわ」を使うとは、、、。最悪な予感は的中した。天気よ、悪化してくれ。。。今日ばかりは祈るのであった。328のウインドウシールドは頭上近くまで伸びてきている。直射日光をもろに浴びるのである。窓を開ける。フロント・ラジエターからの熱風が容赦無く舞い込んで来る。全然涼しくならない。「サウナ・カー!Ferrariダイエットその2」である。後はどこまで体力が持つであろう。隣のシートは既に無口になっている。。。ごめん。こんなはずでは。無口なまま帰る事になった。脱水症状で倒れ込む様に寝込んだ。その日の最高気温は、36℃だったらしい。後日、早急にベルトを入手し装着した。エアーダクトホースも交換した。ホースは対策品か共通部品になっていたのであろう。素材が変わっていた。A/Cのベルト装着にはコンプレッサーの取り付けステーを跨いでいるので外す事になる。少々難儀であった。アクロバチックな姿勢での作業は筋肉痛になる。その時に感じたのは、テンション・プーリーとベルトの沿いをしっかり見た方が良いようだ。芯ずれには案外気が付かない様な気がする。今回の僕のケースはその例だと思う。オルタのベルトも最高に張りにくい場所である。この位置のベルトは真下にエキゾーストが走っているので熱による劣化が早いと予想する。現に僕のベルトもゴムがプラスチック風に硬化していた。細かいひび割れ状態であった。部品代は大した事ないのでこまめな交換が良いと思う。しかし、オルタ自身の交換時はどこから引き出すのだろう。ふと疑問を感じた。W/Pのベルトも恐ろしく細く、流石レース屋のエンジンと唸ってしまった。ちょとした汚れからここまで発展したが、大事にならず一安心であった。この綱渡り的な所もFerrariらしいと言えば納得できるかもしれないが、早期発見で良かった、良かった。ふぅ〜。

エンジン・ルームの汚れから 完

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