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まず、このレポート課題を書くにあたって、この夏休み中に起こった児童に関する事件の多さ
に驚いた。なぜ近年、児童虐待や育児問題が急に浮上してきたのかを考えるにあたり『子ども の援助と子育て支援』のなかの第19章孤立する若年夫婦への援助・主に現代の子育ての環 境について感想と意見を述べたいと思う。
経済的、精神的に未熟なうえ、地域の中で孤立しがちな若年夫婦の核家族が増えつつある
現代の傾向を反映して、それに対応する児童家庭支援センターや児童福祉の現状は新たな 問題の解決法の模索に追われている。少子化と叫ばれている現在の社会環境の中で、若年 で結婚し、出産したこの事例の夫婦の抱える問題が浮き彫りになる裏には、やはり地域や家 族との関わり、母親同士による育児についての情報交換などの機会のなさ、もしくはその機会 を知らないが為に孤立して、一人で問題を抱え込んでしまうという事実が深刻化してきているこ とを忘れてはならない。
この事例のケースの場合は、母親一人で育児の問題を抱えすぎてしまっているように感じ
る。これは、現在の若年夫婦のある1つの特徴であるといっても過言ではないと思う。非協力 的な夫の存在、泣くことが仕事のような赤ん坊の世話によるストレス、育児について未熟、問 題を相談できる人がいないなど、現代の夫婦・育児事情を映し出す典型的な事例であったと私 は思う。そうして問題を一人で抱えすぎて児童虐待や子どもを自らの手で殺してしまうなどの事 件が頻発して起こってしまっているのだと思う。
愛知県内だけでもこのような経路による児童虐待に関する信じられないような事件が何件か
起こっている。例えば、子どもが泣き止まないと赤ちゃんに酒を飲ませ無理心中を図ったり、赤 ちゃんが泣き止まないので殺そうとした殺人未遂事件が起こった。名古屋市では生後3か月の 赤ちゃんの首を締め殺害しようとした母親が逮捕された。母親は育児の疲れから覚せい剤に 手を染めていた。
しかし、このような虐待事件を起こすのは特別な人だけ(つまり母親・父親として未熟な人)だ
と思われがちだが誰にでも起こりうることだと言う事を忘れてはならない。
これらの事件は決して特別なケースではないと専門家は指摘する。その理由として、以前は
祖父母と同居したり、地域との結びつきが強くあったが現在では母親が孤立化していることが あげられる。さらに一番身近な存在である夫との関係も重大な要素の一つであると思う。この 事例のケースの場合は、俗にいう出来ちゃった婚である為、夫と二人だけで過ごす時間が一 般の夫婦より短かったと思われる。お互いのことを十分知ってからの結婚ではないため、その うえ、もう子どももいるということで母親自身の精神的余裕もほとんど無かった可能性も否定で きない。夫婦円満であることがこのような児童虐待を生まない一番の解決策かもしれない。
児童虐待に関する相談件数は、ここ十年でおよそ16倍に増えている。その理由としてあげら
れているのが母親の孤立化による、育児や児童に関する母親同士の交流や地域との関わり の希薄化である。生活の質の向上により、人々が物的な豊かさを求めるあまり、人(主に地域 や祖父母)との関わりを絶つ傾向が顕著に社会に反映してきていることを示していると私は思 う。個人プライバシーの過剰保護などの現状がこの問題の本質を表面化するよい事例だと思 う。つまり、現代の子育てを考える上で欠かせないのが地域や人(母親同士や家族・夫など)と の関わりであるといえる。愛知県西春町の保育園では、4年前から育児に悩む母親の助けに なればと園内に子育て支援センターを作った。周りになかなか育児についての手助けをしてく れる人がいないので育児についての悩みや相談ができずに悩んでいる人でも、センターに来 所してもらうと相談者と1対1になれる場もあるので、そこで個人的な子育ての悩みの相談を受 けることで悩みを解消できればと思いこのセンターは作られた。
センターには毎日小さい子を連れた母親がたくさん訪れ、子育ての不安や悩みを互いに話し
合っている。センター利用者の話では、「児童虐待が起こっているけれども、母親の気持ちも 分からないこともない」、「1人孤独になって育児をすることはどんな母親でも大変だと思う」、 「自分だけで悩むことがなくて気が楽になる」など、このセンターや育児問題について話してい る。
家庭という見えない密室の中で起こる児童虐待、子育ての悩みを1人で抱えることなく地域で
支えあっていく。悲劇を減らすためこうしたサポート体制のよりいっそうな十充実が求められて いる。
考えてみよう・調べてみよう
1児童家庭支援センターとは、1997年の児童福祉法改正により新設された児童福祉施設で、
児童養護施設等、児童福祉施設に付置される。比較的軽微な児童の問題に対して、専門スタ ッフが地域に密着した相談・助言を行うと共に、児童相談所において、施設入所までは要しな いが、断続的な指導が必要であると判断された在宅の児童やその家族に対する指導を行う。 また、児童委員、母子相談員等との連携による問題の早期発見及び児童相談所、児童福祉 施設との連絡調整等を行う。
2孤立したなかでの子育てへの援助に対して、専門機関の果たすべき役割については、やは
り母親に対する育児問題の相談援助や情報の提供、同じような悩みを持った母親同士の交流 の機会を提供することがあげられると思う。なにより、相談によって母親の不安を和らげてあ げなくてはならない。相談者が求めているのは、相談であると同時に悩みを持った1人の人間 として接して欲しいと思っているはずである。相談員も"仕事"
としての側面をいかに感じさせないような相談をしなければならないと思う。また、多くの事柄を
扱うことによって、さまざまなケースを解決している実績から、1つのケース(相談)は、一のケ ース(相談)として対応していかないといけない。つまり、相談を類型化してはならない。
相談援助については、過去に同じような経験をもつ相談員(ピアカウンセラー)などの配置も
望ましいと思う。なにより、相談者を1人の人間として扱い、悩みの解決に努めていくことが望 まれると思う。 ![]()
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