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前期の発表で、地球温暖化による海面上昇により島々が水没してしまう恐れが、近年深刻
化していることを学んだ。この報告に大きな衝撃を感じ、海面上昇により危機的状況に追い込 まれつつある、沈む島々についてレポートしたいと思う。
そこで、今回の課題には発表でも取り上げられたツバル諸島に関することについて、内容の
報告と私の意見を述べたいと思う。
真っ青な海に環礁が点在する南太平洋のツバルは、約10年前「世界で最初に沈む国」として
有名になった。島々を合わせても伊豆諸島の約4分の1しかないこの国で、今年、全国民を移 住させる準備が始まった。
人口約1万1千人、点在する9つの島の面積は計26平方キロ。最も高い所でも海抜4メート
ル程しかない。平均標高1.5メートル。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)
が昨春、「地球の海面は2100年までに最大88センチ上昇する」と予測したため、全国民を移住
させる準備に入った。95年の報告よりも最大上昇幅は33センチに上がった。
最近、巨大なサイクロンが増え、高潮が島の内部まで洗うようになった。家が並ぶ海岸部が
浸食され、地下水の塩水化が生活と農業に打撃を与えている。
異常気象の頻発は温暖化の典型的な現象である。ツバル政府の危機感は強く、大量移民を
本気で考えはじめた。
この国の平均標高は1.5メートル。被害が年々深刻になっているという島民の実感を裏付ける
報告に、ツバル政府は全国民の移住準備を始め、「環境難民」として90年代初めからニュージ ーランドとオーストラリアに移民の受け入れを求めたが、両国とも「すぐに沈むわけではない」と 断った。
ところが、昨年2月、当時のイオナタナ首相がニュージーランド政府に、「今後10年間で1500
人の移民を」と文書で申し入れたところ、良い返事が返ってきた。温暖化問題としてではなく、 既存の近隣諸国からの移民受け入れ計画の中で検討することを約束したのだ。しかし、保護 の対象である難民ではなく、「労働移民」として条件付き受け入れを行うというものだった。
2002年7月3日、首都フナフティーにあるこの国唯一のホテルに、各党、省庁の代表者が集ま
った。そこで、移住先の隣国ニュージーランド政府の担当者が説明を始めた。
その内容は、「移住が認められるのは18歳から45歳まで。英語が話せ、就職能力があるこ
と。」「毎年、抽選で75人を選び、今年末から移住を開始する」であった。
この内容に関して、出席者から「人数をもっと増やせないか」「抽選ではなく、こちらが移住者
を選べないのか」という声があがった。
以上が、現時点までのツバルの海面上昇に対する打開策の展開として進行しています。
ここで、私が疑問に思うこととして次のことが挙げられる。
@オーストラリアとニュージーランドが初期の段階で両国とも移民を断っていること。 A「環境
移民」ではなく、「労働移民」として扱われること。
B「移民が認められるのは、18歳から45歳までの、英語が話せ、就職能力があること。」
「毎年、抽選で75人しか移住できない」
@については、両国とも先進諸国であり、大量の二酸化炭素を排出し直接的な温暖化によ
る海面上昇の原因をつくっているのに、ツバルからの移民を断っている。オーストラリアについ ては、二酸化炭素の排出量世界第15位と海面上昇に大きな影響を与えている。このような、 資金も技術もあるのに対策をしない先進諸国や各国の大企業に対し、隣国のキリバスやイン ド洋のモルディブと共同で提訴し、損害賠償と対策を求める予定であるとツバル政府は表明し た。
Aについては、移民を認めたニュージーランドについて、「環境移民」ではなく「労働移民」とし
て扱うということについて、現代の資本・大企業=労働力社会の姿を映し出していると私は思 う。移民先の国の利益を優先しているということにもつながる。本心からツバルの人々を救い たいと思うのならば、「環境移民」として扱うだろう。「労働移民」では、国は仕方なく移民を認め ているような印象を受けるように私は思う。
Bについては、明らかに人権差別であると私は思う。移民に制限を設けることは、移民先の
利益追求の意図が明らかに分かる。使える者しか入国させない=先進国=差別的政策という 一つの図式が浮き彫りになっているのではないか。
抽選で年間75人ということは、単純計算で2100年までの約100年で移民できるのは、7500
人。総人口1万1千人(人口変動がないものと仮定する)のツバルの人口すべてをカバーする ことはできない。
このようなことが、問題点として挙げられるのではないだろうか。
海面上昇は深刻で、数十年後にツバル諸島はどんな状態になっているのか分からない。離
島は住民一人ひとりの判断になるが、準備をしておくのが政府や国の役割だと思う。
「京都議定書」が実施されても温暖化が進む。「温暖化(環境)難民」を出さないようにする対
策も全世界の理解や協力ものと地球規模で行わなければならない時期になってきている。
最後に全体の感想として、海面上昇に対する危機管理が全体的に甘いと思います。両国と
も他人事のようにこの問題を扱っているように感じた。その問題を作り出しているのは他ならな いその両国(先進諸国)なのだが…
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