遊原工房

渡辺桂子の作品
訪問着

遊原

遊源

 34歳で、名古屋友禅職人 上杉金一先生のもとに、往復3時間かけて通い始めました。ハンカチから始めましたが、一年後に、単衣のコスモスを描いた着物を染め上げるまでに、教えていただきました。
 この着物は中部染色展に出品していただいて、朝日新聞社賞となり、思い出深いものです。

遊源 遊源

響き

響き

 濃紺の地色を池の面に見立て、ポンと石を投げて波紋が大きく全体に広がってゆく様子を、ピンクのまき糊という技法で表しています。そして、前面にしなやかに伸びる猫柳の枝。花餅にもみえるかと、モコモコと、かわいいデザインにして、枝ごとに色を変え、すべての蕾をぼかしてあります。ぼかしというのは、友禅の技法で、片刷毛を使って染料でグラデーションをつくる事です。
 この着物は、毎年パリで行われる『サロン・ドートンヌ』という素晴らしいコンクールに、入選することができました。日本人として、着物の形で発表したのは、初めての事だそうです。百年記念ということで、シラク大統領が顧問をされ、オープニングパーテイーの華やかさは、今でも忘れられません。

花野

花野

 初めて工房を訪ねて下さったのは、まだ高校生のお嬢様の時です。れんげとか、芝桜のような可愛い花が好きとほほえまれました。
 成人式まで三年の間、私の作品展に来て下さるごとに、好みもお人柄も理解が深まりました。彼女の個性をひきたて、一番きれいに装う着物を染める事ができたと思います。